複雑な世界に挑む、人文社会科学の知
私たちが生きる世界は、多様な人々、多様な価値観、多様な経験によって成り立っています。だからこそ、現代の課題に向き合うためには、自分とは異なる視点に学び、専門的知見をもとに対話し、複雑な現実を粘り強く読み解く力が求められます。埼玉大学大学院人文社会科学研究科は、そのための知的基盤を提供する場でありたいと考えています。
本研究科では、人文学と社会科学の多彩な分野が有機的につながり、個々の専門研究の深化と、分野横断的な課題探究の両立を目指しています。博士前期課程には文化環境専攻、国際日本アジア専攻、経済経営専攻があり、2026年4月からは修士課程としてダイバーシティ科学専攻が新たに加わりました。文化環境専攻では人文学と社会科学の幅広い知を基盤に、国際日本アジア専攻では日本とアジアを総合的・国際的視野から、経済経営専攻では経済・経営・会計・法律・行政などの領域から学びを深めます。新設のダイバーシティ科学専攻では、Diversity, Equity and Inclusion(DEI:多様性・公平性・包摂性)に関わる課題を多角的に探究します。博士後期課程には日本アジア文化専攻と経済経営専攻を置き、高度専門職業人や研究者の育成に取り組んでいます。
本研究科には、研究者を目指す方、高度専門職業人としての力量を高めたい方、社会人として学び直しを志す方、そして海外から日本に学びに来る方まで、さまざまな目的に応じた多様な学びの道があります。博士前期・修士課程では、従来型の修士論文のみならず、課題研究プログラム、インテンシブ・プログラム、特定課題レポートといった新たな形で研究成果を発表する方法を設けています。さらに、英語ですべての授業・研究指導を行う、専攻横断的な独自プログラムとしてMaster of Arts (MA) Program in Japanese and Asian Studies(MAプログラム)とMaster of Economics (MEcon) Program in Japanese and Asian Economy and Management(MEconプログラム)も展開しています。さらに、博士後期課程経済経営専攻では、英語で学位取得が可能なDoctor of Economics(DEcon)Program (DEconプログラム)も用意されています。このように、本研究科では、日本人学生だけでなく、留学生や社会人など、多様な背景をもつ人々が世界中から集い、それぞれの問題意識を持ち寄りながら共に学んでいます。加えて、国際性豊かな教員が多様な研究背景を活かしながら教育・研究を担っていることも、本研究科の大きな特長です。
本学が根ざす埼玉県は、首都圏の一角として高い利便性と都市機能を備える一方で、豊かな自然や伝統文化にも恵まれ、外国人住民を含む多様な人々がともに暮らす地域でもあります。都市化、グローバル化、多文化共生、産業と生活のあり方、自然との調和、地域社会の持続可能性といった現代的課題を、理論面にとどまらず具体的・実践的に考えることのできる環境は、本研究科の学びを支える重要な基盤の一つです。さらに、社会人大学院生の学びを支える都心サテライトの活用を含め、多様な学修環境を備えていることも本研究科の特色です。地域社会に根ざした視点と、より広い日本社会、そして世界へと開かれた視野の双方を育むことができる点は、本研究科の大きな魅力です。
現代の複雑な世界や社会は、単純な視点だけでは十分に理解することができません。だからこそ、深く学び、対話し、視野を広げる大学院教育の意義は、これからますます大きくなっていくはずです。本研究科での学びが、皆様にとって専門を深めるだけでなく、新たな視点と可能性を切り拓く確かな契機となることを心より願っています。
埼玉大学大学院 人文社会科学研究科長 草野 大希
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